「研究室での研究活動」は「自分の夢/志」でした。夜だろうが休日だろうが、いくらでも注力できましたね。しかし「企業」では「労働」。全く違います。
この記事では、求人票の労働条件を「労働」視点で解釈します。
研究室気分のままの「自分の夢/志」視点だと、入社してから「ちゃんと気にしときゃ良かった…」と絶対に後悔するので伝えておきたいです(私の実体験)。
以下、4つの労働条件について、勘違いしてないかチェックお願いします。
- 「完全」週休二日制
:完全じゃないと「週に休日1日」 - 「みなし」残業
:給与高めだが「残業が慢性的」 - 「資格」手当
:会社の過去/未来の自分への「評価」 - 賞与と給与「水準」
:業界で「大きな差」
「志」と「労働」は別
大学院での研究活動は楽しかったですよね。
昼夜休日構わず研究室に行ったし、泊まりすらしましたね。自分の興味/発想を試したし、自分で論文読むか測定するか作業も決めた。研究会前の追い込みも懐かしい。
しかし。大学研究室でのノリ。民間企業では違います。
「志」から「労働」へ認識を改めて下さい。
企業での「労働」とは、上長の指示の下、決められた勤務時間に・決められた役割/業務の遂行を第一とする活動です。
「自分の裁量(判断)はない」と思って下さい。
上長により「工数」が見積もられ、怠けるとも無理でもない絶妙なバランスで業務が与えられます。残業も休日出勤も、上長の許可/指示があって初めてできます。研究室とは全然違います。
研究室気分のまま労働条件をスルーすると大変ですよ。
労働条件に敏感になって下さい。働きだしてから「気にしておくべきだった」と後悔しますから。
- 「完全」週休二日制
:完全じゃないと「週に休日1日」 - 「みなし」残業
:給与高めだが「残業が慢性的」 - 「資格」手当
:会社の過去/未来の自分への「評価」 - 賞与と給与「水準」
:業界で「大きな差」
次節から、求人票の注目点を私の経験談を添えてお伝えします。
世間は「完全」週休二日制
研究室では平日/休日/土日なんて関係なく没頭していましたが、労働となると話は別です。
週休2日制には、2種類あるので注意してください。
「週休2日制」と「完全週休2日制」は違います。
「完全週休2日制」は、必ず週に2回休みがあること。たいてい土日ですね。「完全」ではない「週休2日」は、月に1回以上週に2回休みがあること。つまり週1日休日があります。
厚生労働省によると「完全週休2日制」は56.7%(令和5年)。意外と少ない印象ですね。私は85%ぐらいだと思ってました。小中学校は完全週休2日なのに。

私は「完全週休2日制」をお薦めします。
気づかず「週休2日制」の専門学校に就職した後、どんよりしました。
私が勤めた専門学校で「週休2日」は、隔週で土曜日午前中に出勤でした。
朝のバスが平日よりは混まないし、授業の準備ができたのは良かったですが。周囲が休みなのに自分だけ働くなんて、なんか損した気分でした。実際損ですし。
週休2日にするには、有休を使う必要ががありました。有休は別の時に使いたいですよね。
元々「完全」週休2日であれば、有休を使う必要なんてありません。
「なんで世間一般に浸透してる週休2日にするために、大事な有休使わないかんねん!」
みなし残業は「慢性」の証
せっかくの院卒。給与は高めであって欲しいですよね。
今まで働いてなかった年齢分も少しでも埋め合わせたい。
給与を見て「お、高めだな♪」と思っても注意。
「みなし残業」か必ず確認してください。
みなし残業とは「N時間までの残業代を給与に織り込んでおく」という意味。
例えば「みなし残業20時間」は、20時間までの残業は給与に入っているという意味。20時間以上働いたら追加の残業代が支払われます。
みなし残業(みなし労働)がる企業は13.3%。私の印象では、開発職とIT企業に多い気が。

「見なし残業」の本質は、「それぐらいの残業あって当たり前」を意味すること。
「研究室の無制限デスマッチに比べりゃ、多少の残業なんて平気」と思うかもですが。
慢性的な残業はキツイですよ。
私の専門学校は「みなし残業」はありません。「フレックス制」による早めの退社ができるのはメリット。ただし「残業が付かない時間」があります。
私の専門学校はフレックス制です。
コアタイム(08:00~15:30)は必ず出勤ですが、業務(授業)がなければ15:30に退社できます。ただし早く帰った分は別日に追加せねばなりません(残業代にはならない)。1ヶ月の労働時間は変わらないのです(8時間×日数)。午後半休を取るほどでもない、という時に重宝できる制度です。
働いていると「波」があります。
体調やメンタル面から「定時(終業時刻)に帰りたい」「フレックス使って早く帰りたい」と思う時期が、私にはありました。ガンガン帰りました。1ヶ月の労働時間が不足するギリギリの線まで。
次に「残業代が出ない時間」も紹介します。
私の専門学校では、残業代は18:00から計算されます。終業時刻は17:20。17:20~18:00は休憩時間となり、働いても残業代は出ません。昼休みが労働時間に含まれていないのと同じ。
これが地味に嫌。
40分あれば結構カタが付くんですよね。でも残業代を付けるには、40分休憩した後に働く必要が。「40分無駄に残った後に少し残業するぐらいなら、休憩時間に終わらせて早く帰りたい」という思いが強くなります。
でもその「40分未満のタダ働き」。1ヶ月・1年・数年と考えていくと…。
「細かいことを」と思うかもですが、計算すると地味に頭にキますよ。1日30分のタダ働きを500円として、1ヶ月(20日)で10,000円。1年だと12万円。10年で120万円!? 目を擦りたくなりました。
「みなし残業」のタチが悪いのは、採用面接で聞けないところ。面接で労働条件は聞かない方が良いです。「社で働きたい」よりも「条件で働きたい」と思われるため、熱意面でマイナスなので。
資格「手当」は会社の自分への「評価」
折角の院卒なので、求人票に「大学院卒」でなく「修士」「博士」と別々に給与が書いてある企業が良いですね。さらに、資格も持っていたら手当も上乗せしたいところ。
資格手当は、資格を取った「過去のあなた」への会社の評価。そして、これから資格を取った「未来のあなた」への評価。資格手当がないのは、会社はあなたを評価しないということ。
資格手当がある企業は、51%。
高すぎず低すぎず。仕事に関連する資格がない職業もあるでしょうから、妥当な数字かなと。

資格手当がある企業を選びましょう。
資格手当。月3,000円でも年間36,000円。もし5,000円なら60,000円。自動車の保険や車検ぐらいになります。とても大きいですね。チリツモです。
資格手当でなくても、資格取得の補助制度の場合もあります。会社が、受験料を負担・合格時に一時金を給付するなどサポートします。
少額手当でも一時金でも良いので、資格手当がある企業をお薦めします。
入社した後のスキルアップのモチベに直結しますから。
資格取得のサポートがない企業で「新たな資格を取ろう」「スキルアップしよう」と思えますか?
私の専門学校には、資格手当も資格補助もありません。
なのに、半年に1回「受験したか」を聞いてきて、2ヶ月後に「合格したか」を聞いてきやがります。失礼ですよね。何の補助もしないで、不躾にズケズケと。
教材と受験料に身銭を切り、勉強にプライベートを犠牲にし、受験も休日出勤になるはずもなく。めちゃくちゃストレス。
資格サポートなしは、会社の悪意「安くコキ使ってやろう」だと、私は受け取ります。
業界/企業で大きく違う「賞与」
私の場合、特任助教と専門学校で違ったのはボーナスの有無。
「年齢と同じぐらいの月収もらえてればいいや」ぐらいにしか考えてなかったので、ボーナスを頂いた時は驚きました。
大学では年俸制だったのでボーナスなし。しかし専門学校(民間)では、給与は助教よりは下がりましたが、ボーナスが年2回出ました。県外で大学教員やるよりも、地元で専門学校教員やった方が、貯金できるお金は増えました。
月々の暮らしの余裕は月収で、資産は賞与も含めた年収で考えます。
とはいえ、ボーナスの倍率を見ると少しバラバラ。

ボーナスの倍率(月数)は業界や企業・経営状態に依るので、仕方ない面はあります。とはいえ著しく低い業界は、強い希望がないなら避けて良いかと。
また、新しい企業だとインセンティブや業績ボーナスがある場合も。働き甲斐やモチベーションに繋がるので、もし見つけたら前向きに検討するのはありです。
なんだかんだと、労働者が嬉しいのはお金です。企業にはお金で評価を体現して欲しい。
ボーナスに業界差があったので、給与水準も見てみます。
前図に使った、賞与金額と月数から月収を逆算し、年収に再計算しました。

全年齢・全企業の平均値なので、大雑把な値ですが「これほどまでの大差とは」と驚きました。
赤字経営の学校では、ボーナスが数年間「なし」でした。入社前に知りたかった…。
職員会議でのクラス報告の第一声が、授業の未払いについてでした。もっと学生の様子や、クラス対応の話ならともかく。
事務方でやって欲しいと思いました。担任がお金の話を、保護者や学生にするのは関係性に悪影響です。
専門学校は大きくなると、他県進出や関連企業を作り始めます。
例えば、IT専門学校が、IT企業やゲーム会社を設立しているケースはよくあります。給与水準は学校が一番低いです。授業料が固定な上に、少子化で利益が減る一方ですからね。給与が増える未来はありません。
私は敢えて教育職を選んでいます。
「教えるのが大好き」「最先端技術を教えるレベルまでちょい噛みするのが好き」なので。しかし、労働条件の面では一切お薦めできません。給与水準・資格手当なし・学期中の有休の取れなさなどなど。
教育職に興味があるかもですが、まずは「普通の企業」の「研究職」から探して下さい。院卒なのに、敢えて教育職を選ぶのは物好きだけです。
企業が属する業界・研究職の2面から給与水準を気にかけて下さいね。
ひとまず、あまりに低い飲食・生活・福祉は避けた方が良き。でも研究開発職なら少しは高いかもなので、就職したい分野なら深い確認をお願いします。
まとめ
お疲れ様でした。
「好きでやってた」研究室気分から、「労働」に視点が変わったでしょうか?
労働条件は、自分なりに優先順位を決めてください。
- 「完全」週休二日制である
- 「みなし」残業がない
- 「資格」手当/サポートがある
- 賞与/給与「水準」が著しく低くない
ひとまずはこれらを見ておけば「大きな後悔」はないです。良き出会い・良き労働ができることを祈ってます。
他に参考になりそうな記事があったら、また宜しくお願いします。

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