この記事では、大学教員の競争率を4倍と見積もった計算をまとめました。
大学教員・ポストドクター(ポスドク, PD)・新卒の博士課程の統計データも掲載しているので、ご自分で考える時の参考にして頂けたら嬉しいです。
ご存じの通り、ポストは「JREC-IN」で探して下さい。私も先輩に教えてもらい、大学教員に応募する時に使って採用されました。大学も研究機関も高専からの求人が掲載されます。
以下に興味が出たら、読んで頂けれたら嬉しいです。

- 大学教員の採用枠は5,000名
- 新卒DとPDの人数から競争率3~4倍と推測
- 新卒Dの採用は2,500名(16%)
- PDからの採用は1,400名
- PDになる人生は修士学生の1%
- PDから企業就職できたのは5%
- 修士か博士で就職した方が良い
- 修士→博士で10%の人生
- 修士→博士→PDは1%の人生
大学教員の定年退職は毎年5,000名
定年退職する大学教員の分、採用枠が生まれると考えます。
大学教員の定年退職は65歳。60~65歳の教員数を調べると、大方5,000名。教員総数が変わらないと仮定すると、毎年5,000名の「空き」ができます。

5,000名は大方正しいです。大学院生・PDからの採用が4,300名だったので。あとで確認します。
競争相手のPDは15,000名
大学教員に応募するのは、新卒Dだけではないですね。
先輩PD(ポストドクター, 研究員) 15,000名とも競争して勝たねば。

先輩の方が査読論文も研究歴も長いですから強敵です。
また、グラフを見て気付いた通り、年齢構成に変化が。20代が減り、40代が増えています。後で少し触れますが、PDになる人生はかなり覚悟して下さい。
新卒Dも15,000名・44%が研究職志望
では同期。新卒DもPDと同じ15,000名。
研究職志望は修士では14%だけですが、博士では44%に高まります。

「研究職志望=大学教員, PD」ではなく、企業の研究職も含まるとはいえ。多くて、新卒D 6,600名(15,000×0.44)と先輩PD 15,000名の21,600名で、大学教員 5,000名を争います。4倍と概算できます。
さらに、15,000名は博士号「取得」者数。博士課程で学位取得ができなかった方、修士課程から大学教員を狙う方もいますので、さらに倍率は高まるかと。
なおは大学教員(=博士号がなければ続けられない職)の話。修士学生は無視します。あとで確認しますが、修士からは400名しか採用されてません。
新卒Dからの応募率で競争率は変わります。研究職志望は44%。私の研究室では10~20%の肌感。どちらにせよ、競争率3~4倍と推測できました。

数式は簡単です。競争倍率 = (15,000 + 15,000×志望率)/5000。前者の15,000がPD、後者が新卒D。
新卒Dから2,500名が大学教員に
話変わって、採用人数を確認します。
大学教員5,000名枠は正しそう。文部科学省の発表では、4,306名。残差700名は外部流入と年変動かと。
新卒Dからは2,500名が大学教員に。5000名枠の50%。4,300名枠で考えると58%。

肌感では「意外と新卒採用ってされるんだな」と思いました。私の周りはみんなPDだったので。
なお同じ1.5万人のPDからの採用は、1,360名に落ちます。新卒Dで大学教員になれずPDで粘る場合は注意です。人生を選ぶ前に知っておいてください(私は知らなかったです…)。
40代になっても「結果」が出ない人生かも
大学教員の年齢別人数を見ると、「いつまでに大学教員なれるか」を考えられそう。
ざっくり46歳までは増えています。ただ40歳以上は、企業人や芸能人の特任教授も多いかもですが。

新卒Dで大学教員になれなければ、PDで粘ると思います。
しかし、40歳まで任期付きPDで転々とするかは考え所。どんどん若い優秀な学生さんが輩出されますから。有名大学出身・学生時代にNature/Science誌に掲載の優秀な。
PDに気になる動向を見つけました。
PDは15,000名から変動してませんが、年齢構成が大きく変わっています。

理由までは考察がなかったのですが、個人的には以下。
- 40代の倍増…大学教員への採用が減っている? 年齢がネックになる時代になった?
- 20代が半減…不安定さが分かる「真っ当な」センスの学生が多くなった?
まとめ | レア人生かメジャー人生か
ここまで読んで頂きありがとうございます。
最後に院生の「人生パス」を、「確率」と「人数」で意識して終わります。

掛け算でみると、いかに「レアな人生」か分かります。
- 修士→就職:74%の人生
- 修士→博士:10%の人生
- 修士→博士→大学教員:1.6%の人生
- 修士→博士→PD:1%の人生
- 修士→博士→PD→大学教員:0.09%の人生
- 修士→博士→PD→社会人:0.05%の人生
- 修士→博士→PDループ:0.61%の人生
人数で見ると具体性も増します。
「レア枠に自分が入れるのか?」「メジャー枠に自分が入れないのか?」で、ご一考を。

PD(15,000名)から863名だけが就職なのが一番驚愕。
最後に「進路不明」についても興味があれば。
進路不明が13~30%もあります。
アンケートの回答率もありますが、少なくとも教員にはなっていません(文科省の統計に出るので)。もし末路がニート・フリータだとすると…。

さらに個人的に怖かったのは、修士と博士で「その他・不明」と書かれた項目が、PDでは「不明・死亡」と書かれたこと。

自分の人生なので「志を貫く」のは良いです。しかし「未来の自分が引き返せない人生」を選んでいるのは意識してください。しっかり調べて、しっかりご覚悟を。
まずは、研究室の先生/PDの方に聞くのが良いですね。
でも1%前後の「成功者」であることも加味してください。
企業就職を「失敗者」とは思いません。修士で74%、博士で34%のメジャーな人生です。企業の研究職就職率も高いです。
未来の統計量を見て判断するのもテと思って、この記事を書きました。
修士から5万人超が企業に就職する中、博士課程に進むのか。PDから企業に860名しか就職できないけど、PDに進むのか。40歳後半まで粘るのか。
大学教員への道は研究室の先生に聞くので良いとして、就職への道は別の情報源/相談役が必要です。
企業の研究職/一般職の就職を希望した先輩方の様子を聞いてみると大いに参考になるでしょう。大学巨院・PDの何に不安や限界を感じたのか、企業への就職のポイントと解決・実際に入社してどうか。など。
身近にいらっしゃらないなら、大学院専用の就職サイトもあります。
- 「アカリクイベント」:大学院専用のイベント紹介サイト。博士課程のキャリアプラン、院卒を積極採用する企業さんの説明会など。
- 「アカリク就職エージェント」:大学院専用の就活エージェントサービス。15年以上3,000件の実績あり。
「JREC-IN」で大学ポストを探しつつ、社会に出ることも考えて頂ければと思います。
当ブログでは、私の大学院→大学教員→専門学校教員の経験に基づいた就活を書いてます。他に役に立ちそうな記事があったら、読んで頂けたら嬉しいです。
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